【原因と病態】
背骨は首からお尻まで椎骨という骨と椎間板というクッションがつながって出来ています。椎間板は軟骨で出来ていますが、構造は周囲が繊維輪という硬い軟骨で囲い、その中に柔らかい隋核という軟骨が入っており、ちょうどタイヤのゴムと空気のようにクッションの役目をして、重力を四方に分散させています。その隋核が繊維輪を破って飛び出した状態が椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアはくびにも腰にも出来ますが、上半身を支える腰椎は5個あり、特にL4-5、L5-S1間によく出来ます。悪い姿勢での動作や作業(中腰や腰をねじる作業)、喫煙などでヘルニアが起こりやすくなることが知られています。
【症状】
腰や臀部が痛み、下肢にしびれや痛みが放散し、足に力が入りにくくなります。背骨が横に曲がり(疼痛性側弯)、動きにくくなり、重いものをもったりすると痛みがつよくなることがあります。症状が悪化した場合、足に麻痺が出現したり、排尿・排便が困難になることもあります。
【診断】
下肢伸展挙上試験(膝を伸ばしたまま下肢を挙上し坐骨神経痛の出現を見る)や下肢の感覚が鈍いかどうか、足の力が弱くなっていないか等で診断します。さらに、X線(レントゲン)撮影、MRI、CTなどで検査を行い、診断を確定します。ただし、MRI画像で椎間板が突出していても、症状が無ければ多くの場合問題はありません。
整形外科とは、一般的な印象は骨が折れたとき、捻挫した時に受診する科と認識している方がほとんどだと思われますが、鼻を高くしたり、傷を見えなくしたり、より美しくする科も整形外科と認識されている方もいると思われます。それは今後、美容形成または形成外科と認識していただけたら、幸いです。
整形外科は、三つの分野に分かれています。その三つ分野とは上肢・下肢・脊椎です。通常の外来では、整形外科医はすべての分野に関して診察することはできます。しかしながら、治療は日進月歩のため、それぞれの分野で治療方針は多岐にわたってきています。そのため整形外科医の中でも上肢・下肢・脊椎に専門性が分かれています。
分かりやすく言うと、いずれかの部位を専門としている先生は、ほかの部位の先生よりも診断、治療、手術に長けているということです。
上肢は肩から手まで、下肢は股関節から足まで、脊椎は頚から腰までといったように、分かれてはいるのですが、症状はいろんな部位に出るため、一概に一つの分野だけで行うことは難しいです。