ドクターズコラム-大村健久先生-|医療法人社団健和会・函館おおむら整形外科病院/北海道函館市若松町【整形外科・脊椎外科・人工関節外科・リハビリテーション科・スポーツ外来】

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腰椎椎間板ヘルニア

【原因と病態】
背骨は首からお尻まで椎骨という骨と椎間板というクッションがつながって出来ています。椎間板は軟骨で出来ていますが、構造は周囲が繊維輪という硬い軟骨で囲い、その中に柔らかい隋核という軟骨が入っており、ちょうどタイヤのゴムと空気のようにクッションの役目をして、重力を四方に分散させています。その隋核が繊維輪を破って飛び出した状態が椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアはくびにも腰にも出来ますが、上半身を支える腰椎は5個あり、特にL4-5、L5-S1間によく出来ます。悪い姿勢での動作や作業(中腰や腰をねじる作業)、喫煙などでヘルニアが起こりやすくなることが知られています。

【症状】
腰や臀部が痛み、下肢にしびれや痛みが放散し、足に力が入りにくくなります。背骨が横に曲がり(疼痛性側弯)、動きにくくなり、重いものをもったりすると痛みがつよくなることがあります。症状が悪化した場合、足に麻痺が出現したり、排尿・排便が困難になることもあります。

【診断】
下肢伸展挙上試験(膝を伸ばしたまま下肢を挙上し坐骨神経痛の出現を見る)や下肢の感覚が鈍いかどうか、足の力が弱くなっていないか等で診断します。さらに、X線(レントゲン)撮影、MRI、CTなどで検査を行い、診断を確定します。ただし、MRI画像で椎間板が突出していても、症状が無ければ多くの場合問題はありません。

【治療】
痛みが強い時期には、安静を心がけ、コルセットをつけたりします。また、消炎鎮痛剤の内服や坐薬、神経ブロック(神経の周りに痛みや炎症を抑える薬を注射する)を行い、痛みをやわらげます。腰を温めるのも良いでしょう。痛みが軽くなれば、牽引を行うなど運動療法を行うこともあります。これらの方法でよくならない場合や下肢の脱力、排尿障害があるときには更に詳しい検査(造影剤などを用いた検査)をし、手術をお勧めすることがあります。
ご心配なことがありましたら、詳しい治療方法などを知りたい方は脊椎の整形外科医にご相談ください。
【青いぽすと 平成23年7月29日号掲載】

地域に根差した整形外科をめざして

整形外科とは、一般的な印象は骨が折れたとき、捻挫した時に受診する科と認識している方がほとんどだと思われますが、鼻を高くしたり、傷を見えなくしたり、より美しくする科も整形外科と認識されている方もいると思われます。それは今後、美容形成または形成外科と認識していただけたら、幸いです。

整形外科は、三つの分野に分かれています。その三つ分野とは上肢・下肢・脊椎です。通常の外来では、整形外科医はすべての分野に関して診察することはできます。しかしながら、治療は日進月歩のため、それぞれの分野で治療方針は多岐にわたってきています。そのため整形外科医の中でも上肢・下肢・脊椎に専門性が分かれています。

分かりやすく言うと、いずれかの部位を専門としている先生は、ほかの部位の先生よりも診断、治療、手術に長けているということです。
上肢は肩から手まで、下肢は股関節から足まで、脊椎は頚から腰までといったように、分かれてはいるのですが、症状はいろんな部位に出るため、一概に一つの分野だけで行うことは難しいです。

代表的な疾患を挙げると、上肢では肩周囲炎(いわゆる40肩、50肩)、肘部管症候群・手根管症候群(てのしびれ)、ばね指など。
下肢では、変形性関節症(動きははじめの膝、股関節のいたみ)、捻挫やスポーツによる膝、足首の靭帯損傷。
脊椎では頸椎症(くびの痛み)、腰部脊柱管狭窄症(何分か歩くと足がしびれてくる)、急性腰椎症(いわゆるぎっくり腰)、首や腰のヘルニアなどが挙げられます。
保存的治療(内服薬、外用薬、リハビリなど)で改善が認められない場合は、かかりつけ医の先生と相談していただき、一度専門としている整形外科の先生に受診してみてはいかがでしょうか?
当院も上肢、下肢、脊椎の医師をおき地域に根差した医療を目指しておりますので何かありましたらご相談ください。
【函楽 平成23年6月号掲載】